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院長 竹内 望

「これしかない」と決めた心で培ってきたもの。その想いを大切に診療し、次世代の医師へ継承していきます。

岡山から高槻に戻り、大阪医科大学附属病院で消化器の診療に携わりました。たくさんの先生や先輩方にお世話になり、私も手伝えることがあればと、現在は非常勤で内視鏡の検査と治療の指導をおこなっています。

消化器内科を担当とした理由を教えてください。

もともと内科の医師になりたいとは思ってはいたのですが、岡山の大学から高槻に戻ったときに、医師であった父が、「大阪医科大学であれば第2内科が外部の大学を卒業した医師の面倒もよく見てくれる」という話を聞いてきてくれました。そうして入った第2内科が消化器内科だったのです。そこから消化器内科の医師の道を進むことになりました。

心に残るエピソードを教えてください。

研修医になってから3年目で近くの病院に研修に出ました。毎日忙しく厳しい環境でしたし、時代的背景もあり「女のお前に何ができる」と言われることもあって、入局から一週間後には胃から出血する程でした。あまりのストレスに辞めようと思い、辞表を用意していたのですが、辞めることを伝えようと思っていたその日に10代の男の子が下血で運ばれてきたのです。

私がその子の主治医になったため、その日はとても忙しく、手術の結果男の子は助かりましたが、辞表を出しに行く時間が取れませんでした。そうしている間に私が辞めようとしていること知った先生方から「ここで辞めたらだめだ」と引き留めの電話が次々とかかってきて……。「あかんで。辞めることはできても、辞めてしまってはあかん。ともかくやれ」という言葉を受けて続けていくうちに、「何があってもこれしかない」と心に決めるようになりました。すると、だんだんとこの仕事のやりがいを感じられるようになっていったのです。

大学病院での経験から培ったものはありますか?

現在は医学や技術の発達により、内視鏡検査では種類の異なった数種の光を用いることで病変の検出がしやすくなっています。ですが、昔はカメラを通して写し出された映像を、肉眼でどのような状態か診断しなければなりませんでした。そのため、ぱっと見て判断する力、がんを目で見て見極める力が養われました。

その時代を知らない若い医師は、検査機器が病気を見つけてくれるからと頼ってしまいがちですが、私は今でも自分の目でしっかりと見ながら検査と治療をおこなっています。そういった技術を大学病院で培ってきました。

大学病院に一週間に一度勤められている理由を教えてください。

私はこれまでいろんな先生から指導をしていただき、今も変わらずかわいがってもらっています。そういう関わりの中で「下の世代に恩返ししてほしい」と言われたことから、胃カメラの検査や内視鏡での胃がん切除の仕方を指導しています。

私は機器だけを頼ることなく、これまでの経験から肉眼で見て「これはおかしい」と思ったらすぐに病変を切ってしまいますが、それを見た若い医師が「先生、すごいですね」と驚いているので、「そやろ」などと返しながらやっています。指導なんておこがましいですが、知っている知識を少しでも伝えられたらと思っています。

診療や検査における強みやこだわりを教えてください。

私も弟も検査のときは病変を目で見て判断する力を養ってきました。生検に出して判断するために組織を採取すると線維化が起こって硬くなってしまい、がんの切除がしづらくなってしまうことがあります。そうならないためにも肉眼で見て判断し、その後の治療につなげていくようにしています。

内視鏡検査に関しては、「鎮静剤を使用しなくても痛みが少ない技術でおこなう」がモットーです。実際には微量の鎮静剤を使用して痛みの軽減はしていますが、眠っていただくことはありません。大腸内視鏡検査では患者さまには検査中の画面を見ていただいて、その場で状態を説明しながら検査と治療をおこなっています。

ポリープはその場で切除するものもありますし、大きいものであれば提携している医療機関を紹介します。ですが、出血がないもの、がん化しない良性のものは目で見てわかりますから、切除はしません。切除することでのリスクが考えられるからです。

長く地域に根差した診療をおこなえる理由を教えてください。

父から診療所を継承したときに、患者さまは新しくてきれいなクリニックに移られるのではないかと思っていました。診察室もオープンで筒抜けなので、患者さまに配慮して改装することも考えましたが、お世話になった教授に相談したところ、このままの方が良いというアドバイスを受けて、改装することなく続けています。

診察室にいると来院された患者さまやスタッフの様子をうかがうことができます。注射がうまくいかない場合はすぐに変わることができますし、トイレに行かれた患者さまが戻られるのが遅いと様子を見に行くように指示を出すこともできます。そうやって目を配っていられることが、引き続き通っていただけている一つの理由なのかもしれません。

非常勤医師 竹内 利寿

大学病院では医療の発展、診療所では地域医療への貢献をおこなっています。

大学病院では検査・治療・研究などを、ここでは非常勤医師として診療をおこなっています。検査による病気の早期発見・早期治療はもちろんのこと、「また検査をしてもいい」と思ってもらえるように努めています。

大阪医科大学病院ではどのようなことをおこなっていますか?

内視鏡検査による胃がんや食道がんの早期発見と早期治療に力を入れています。がんが小さいうちに、いかに早く見つけ、そして治療するか。実は早期の小さいがんであれば、内視鏡によって病変を剥ぎ取ることができます。そのESDという治療にずっと携わってきました。今はそのESD治療を主導する立場として、若い先生たちへの技術の継承をおこなっています。また、大学病院は研究機関でもありますから、内視鏡に関するものから、ピロリ菌や逆流性食道炎に関する研究、薬を使った臨床試験もおこなっています。

薬については、胃薬をたくさん飲まれている方に対し、何を足せば改善するかなど、自分自身も含め診療にあたる医師が困ると思うところの研究を進めています。また、漢方薬の研究もしています。たとえば胃腸の不調であれば、「65歳以下のやせ型の女性への作用が期待できる漢方薬」はわかっているのですが、逆のタイプの患者さまに効くものはないか、というような研究をおこなっています。

診療や検査で心がけていることを教えてください。

患者さまと接するときに大切なことは優しさだと思っています。おなかが痛くて来院しても、検査では何も異常がないことが多々あります。でも、患者さまは困っているから来院されているので、「何もなかった」で終わらせてしまわず、「何かあるかもしれないからCT検査をしてみましょうか」など、患者さまの立場に立って診療するようにしています。

また、内視鏡検査では患者さまの負担の少ないラクな検査は当たり前のこととして心がけ、「1~2年後にまた受けても良い」と思ってもらえるように努めています。定期的に検査を受けてもらえれば、病気の早期発見・早期治療という患者さまのメリットになるからです。だからこそ、検査をする度ごとに「病気を見落とさない」ということを自分に言い聞かせておこなっています。

姉弟で診療するメリットを教えてください。

姉の院長も私も消化器内科の医師ですが、消化器内科は食道・胃・肝臓・すい臓・胆のう・小腸・大腸と幅広く診ていきます。1人で診るよりも2人で診ていく方が病気の見落としも少なくなりますし、2人で考えを出し合えば、診断や治療方針への考え方が2倍4倍になっていく、というのが強みだと思っています。

また、大腸内視鏡検査はデリケートな検査ですから、患者さま自身に男性医師と女性医師のどちらかを選んでいただくことができるのも強みの一つですね。

内視鏡検査でのこだわりを教えてください。

内視鏡検査のレーザー光源にこだわりを持っています。通常の光で見えないものでも、特殊光を当てることで見えることがあります。逆に、特殊光でおかしいと思うところに通常の光を当ててみると異変がないなど、波長の違う光を当てることで病変を発見しやすくなります。

いろいろなやり方で観察しながらも、機器に頼り切ってしまうことなく自分の目でしっかりと見て確かめ、可能な限り生体検査をおこなわないようにしています。肉眼で診断することができれば、コストの面でも検査を受けられる方への負担を減らすことが可能になるからです。